2017年3月28日火曜日

福祉 2.0



福祉 2.0 とは何か?

最近いろんな分野で2.0って聞くようになったので、福祉のことで考えてみる。

福祉も30年問題もあり大きな転換期にある。
制度的にもそうだけど、サービスや支援のあり方も大きく変わっていく必要があると感じている。


これまでの精神保健福祉は、精神障害者の私宅監置(自宅にて監禁すること)に始まり、精神病院での治療(私宅監置から保護治療へ)が始まる。その後、精神病院や障害者の調査が行われて、様々な制度の転換を経て、精神衛生法が成立。私宅監置を廃止・禁止した。
それからも変化をし続けて、治療から社会復帰までの政策が提言されるに至った。

※歴史については、かなり端折って書いてますので、そのつもりで読んでね。


徐々に拘束することから、開放・社会復帰へと転換していった。


しかし、ここで問題が起こる。
1964年にあったライシャワー事件だ。


1964年(昭和39年)3月にアメリカ大使館門前で当時19歳の統合失調症患者にナイフで大腿を刺され重傷を負った。この時に輸血を受け「これで私の体の中に日本人の血が流れることになりました」と発言し多くの日本人から賞賛を浴びたが、この輸血が元で肝炎に罹る。その後、これがきっかけになり売血問題がクローズアップされ、その後日本において輸血用血液は献血により調達されることになる。この事件は「ライシャワー事件」と呼ばれ、精神衛生法改正や輸血用血液の売血廃止など、日本の医療制度に大きな影響を与えた。
Wikipedia より引用)


この時に「精神障害者を野放しにするな。」というマスコミのキャンペーンが行われた。


魔女狩りの始まりだ!


社会への開放から隔離へ。
世界は開放に向かう中、日本は病院、施設収容が増えることになっていく。


それからも制度変更は行われるが、1970年に始まった小規模作業所運動開始。
これが大きな転換期だと思う。
施設収容から地域へ。
偏見が多い中、先代の支援者たちが社会と戦い、より開けた福祉制度の設立へ邁進した。

既存の制度が生まれることになった活動だ。
ここまでが、福祉1.0
これは自分の視点ね。

なんでこの話をするかっていうと、最近ライシャワー事件時代から作業所を運営し、現在も当事者支援をする団体の代表や職員の話を聞いたからなんだよね。

現代とはレベルの違うほどの偏見を受けながら、当事者と支えあいながら活動を続け、現在の制度の礎を担った人たち。凄すぎるよね。当時の話を聞いたら感動したんだ。
俺にはできないだろうねって、普通に思った。


そしてその代を引き継ぎ、現在の障害者総合支援法という地域移行の制度にまで発展させてきた世代。
この人たちが今、地域福祉の先頭を走り、舵取りを行っている。
この世代までが、福祉1.0 なんだと思う。

ちなみにこれは茨城県での話。自分の印象だけど。
43~47歳くらいの人たちが担っていると思う。
他の県では特色が変わるかもしれないけどね。


その発展してきた地域福祉の次の担い手である僕らの世代。
これからが、福祉2.0

なんだと思う。


これからを担わなくちゃいけない世代。

ITやIOT、ビックデータにAIなどなど。
技術作新が進む昨今。

それらを活かして今後の地域福祉を作っていくのか? 

それぞれが問われるところだ。



自分が感じている福祉の問題点は、当事者や支援者、その家族や知人、それ以外の方が地域福祉の現状をほとんど知らないことなんじゃないかと思う。

共生社会と叫んでも、実際の社会とは大きな断裂が生じていること。


あなたは、地域にある福祉事業所を知っていますか?


多分知らないよね…。
必要になるときにしか関心がいかないから。

でも、福祉は公共のものであって、みんなが必要なもの。
これから必要になるなら早く知った方が良いし、それを知らないからこそ、接点がないからこそ偏見になってしまう。


知られていない現状は何故なんだって思うけど、それを作っているのは、自分を含めた福祉関係者によるところも多きいと思う。
情報を発信していない福祉の村社会。社会から隔離された福祉の閉鎖社会。
学校文化にも近いことが言えると思うけどね。


その情報の垣根の打破が、断裂を生んでしまう距離感の打破につながる。


だからこそ、自分はどんどん情報発信をしていきたい。


それに、より開けた社会政策となるような活動を行う。
それがおんらが村構想。


他の県ではやっているところもあるけど、障害、高齢、子ども、地域の人々、みんながあたりまえに交わる空間を作っていく。
そのごちゃまぜなコミュニティが、これまで空間を分けられてきたことからくる距離の断絶を紡ぎ、知らないことから生まれる偏見の打破につながると思うんだ。


それが自分にとっての  福祉2,0 であり、やりたいことなんだ。


以上。


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2017年3月22日水曜日

稲敷市は自殺対策に本気で動き出すぜ! part2




2014年の4月に稲敷市自立支援協議会に委嘱されて副会長になり、その中の専門部会であるライフサポータ―部会の部会長となった。

ライフサポータ―部会は、稲敷市市議会委議員の竹神さんが稲敷市の自殺についての現状と対策を一般質問して、自殺対策を行うことを目的に作られた専門部会こと。


部会に関わってから早3年。
長いようで早かった。


他の部会メンバーと協力して、取り組みが大きく動き出すのでとりあえずのご報告を。


2016年1月より、稲敷市自殺予防プロジェクトが始まった。

これは、自殺未遂者・企図者の支援がもっとも必要だと考え、救急医療機関に運ばれてくる患者さんが、処置の後に悩みを話せるように、稲敷市の精神保健福祉士が相談に行くという取り組み。そして、個々の悩みや状況に合わせた支援先とのマッチングを行う。


稲敷市の近隣にある7つの医療機関と連携して行ったこのプロジェクトに、1年間で1件の実績が出た。
緊急搬送されてきた患者さんの相談を市の職員が行い、支援先につなげて現在も自殺再企図することなく安定して生活している。


これはとても嬉しいことで、少ないけど確かな実績だ。



そのため昨年の後半より、このプロジェクトをより発展させ、確かなものにするために、県の事業である自殺未遂支援・連携体制構築事業に乗せようという動きになった。


県の予算・市の予算を申請して、無事に通ったということで、今年の4月から稲敷市自殺未遂支援・連携体制構築事業として始まる予定です。
自殺未遂支援・連携体制構築事業は、茨城県内初の事業なんです。凄いよね。
※ちなみにこれは、市の職員Hさんの貢献が大きい。一応書いときますね(笑)


そのため、自立支援協議会のライフサポータ―部会は事業として昇格したので終了です。

またそちらでの活動が始まったら、報告します。


2015年3月4日水曜日に書いた記事。 稲敷市は自殺対策に本気で動き出すぜ!


ちゃんと本気で動き出しましたね。ん~、感慨深い。

では。


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2017年3月9日木曜日

撤退戦について考える。

この前、R-SICに参加してきた。

誰が地方創生を成功に導く?
〜救世主はどこから来て、そしてどこへいくのか〜

というセッションがあった。

このセッションでは、限界集落とも呼ばれる市役所の職員も登壇していた。そして、日南市という稲敷市に近い人口の市の職員も登壇していた。

その話の中で特に印象に残っているのは、人口流出や人口減が大きくなっていく中で、この流れは止められないということ。様々な取り組みで人口増を目指しても難しいし、どう人口減を受け入れて、市の文化や歴史を継承して終息していくか?
終わり方が大事だし考えていかなくてはいけないことだよねって話していたこと。

おいおい、これから頑張って市の人口を増やしていこうよ。それを改善していかないとって思うよね。自分もそう思っていたし、そういう活動に貢献していきたいと思ってた。

でも地域の学校では生徒が減り、廃校が増えてきた。同級生が5~15人と学級運営も難しくなり、コミュニティーが減少し、クラブ活動の運営が出来なく遠くまで行くしかなくなった。

これは学校のことだが、これからの医療や福祉はどうだろうか?
減少していくし、消滅もありえる。インフラ整備もそう、人口が減れば行き届かなくなる。


それを防いでいくには人口を増やしていくしかない。となると、高速道路や企業送致して人口を増やさないとって考える。どこもそうだし、結局は少なくなる人口のパイの奪い合いでしかないと思う。


でもね、そもそも論として市の人口はどれくらいが妥当なのだろうか?

また日本の人口はどれくらいが妥当なんだろうか?

資本主義で考えれば、増やせばいいと思うけど。
まだまだ増やすべきか?多すぎなのか?

下記は、これまでの人口構造の変化グラフ。



明らかに1900年から2000年の間に急増している。
まあ世界的にも人増え過ぎだけど。

人口減少という現象は、増え過ぎた人口の振り戻しではないだろうか?

2000年から明らかに人口が減っていく中で、地方創生を叫び人口増を目指していくことは必要なのか?環境問題を含め、人が関わる社会問題も多くなってきたからね。


市の人口増を目指すなら、近隣とのパイの奪い合いだし、それが市の在り方なのかを検討していく方が良いのではないかと思う。


人口増を目指して、それを想定してあらゆるものを整備していく。
でも期待値での整備がかかりすぎるよね。まあ後出しだろうけど。

それとも、例えば稲敷市の人口は20,000万人として目標を立て、そのための市の環境整備をしていく。
20,000万人が安心して暮らせるインフラや教育、医療や福祉を提供する。そういう衰退を含めた計算がこれから必要なんじゃないかと思う。今後想定されるであろう人数とそれでも維持していくための細かな都市計画ね。

自分は後者だと思うんだよね。


自分は稲敷市が好きだし、どうにかしたいけど、こういう衰退した後の市の在り方も考えていくことが大切だと思う。


それは会社にしてもそう、地域の終息を含めて、撤退戦を考えながら運営していくこと。


これからは衰退していく地域の中でどう生きていくのか?
さらに多くの人が考えなくてはいけない問いになってくると思う。


「あなたはどこで生活しますか?


自分はまだ稲敷市で頑張っていこうと思っていますけどね。
やれることはやっていきます!



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2017年3月6日月曜日

R-SIC 2017 に参加しました。

毎年恒例のR-SICに今年も参加してきました。今回で3回目。
http://ridilover.jp/R-SIC/


京都 → つくば → 今回は東京で3日間。

1日目は各セッションは教育、働き方、一般雇用、障害者雇用、産業モデルや地方創生についてなどのこれからと未来について、各業界専門家数名をモデレーターが司会して議論を深めていく。


2日目は社会課題の現場を訪れるスタディーツアー。関心領域に合わせたテーマのツアー現場を訪問する。最新動向の調査や当事者との対話を通し、課題について学びを深める。
その後に、現場での学びをアウトプット・共有する「ワークショップ」を行う。



3日目は、1日目と同じようないくつかのセッション。その後にCROSS POINT。新しいソーシャルビジネスのためのインキュベーション&ピッチコンテストで登壇者数名がプレゼンして、優勝者を決める。ここが一番盛り上がるところ。


今回参加してみての感想は、やっぱり各セッションのどのテーマも面白く、これからの社会の変化やあり方について深く学べたし、自分の考えとの距離も測れた。

自分の考えも大体そんな間違ってない(笑)

それと、毎回感じるけど登壇者の人たちの熱量は凄いよね。
自分の活動にまっしぐらに進んでいく姿は素敵なんだよね。俺も、もっともっと頑張らないとって感じさせてくれる。
セッションも良いけど、この感覚を味わいたくて参加しているようなもんだからな。


ただこれまで3回参加してきて、徐々にイベントから感じる熱量というか、この人スゲ~みたいな感覚が少なくなったと感じた。
毎回、各分野のトップランナーが出てきてタメになる話をしてくれる。毎回感心する内容だし、TVに出る人も多くいるから、それだけでもテンションMAXなんだけどね。それでも感動が少なくなってきたんだよね。

なんでだ?って考えてて、これかなって思ったのは、自分や活動に対する自信なんじゃないか?ということ。

3年前は、自分の活動も始まったばかりで、まだまだ何も結果も出してないし、活動も安定とは程遠かった。でも思いだけは強かったとは思うけど。
そんな中このイベントに参加したら、スゲ~人ばっかりで巨人みたいに見えていたんだと思う。自分には手の届かない芸能人にあっているような感覚かな。だから、スゲ~スゲ~って感激していたんだと思う。


それが年々活動も本格化して軌道に乗り、運営も安定してきた。周りに知られるようになったし、少なからず結果も残してきた。
その経験が自分に対して、そして活動に対しての自信になってきたんだと思う。手の届かぬ存在から、頑張ればそこまで行けると考えられるくらいに成長したってことかな。

そういう意味で、これまでに感じたような興奮はなかった。
自分のステージが上がり、対等に感じれるようになってきたんだね、きっと。

そう考えていたら、今回でこのイベントは卒業しようと思った。
良い意味でね。

トップランナーの中にいると勘違いして自分を見失わないように。
もっと自分の活動に向き合って、しっかり課題解決できるように結果を出していきたい。


ということで、とりあえず卒業します。



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地方で起こす "collective impact"

今年の1月より市より委嘱を受けた、生活支援コーディネーター(SC)というお仕事。 順調に活動を始めて3ヶ月が経ちました。 長時間ではないにせよ、月に8日活動したのでこれまで24日くらい業務しています。 現在どういう活動をしているかというと、地域住民が主体となって...