2011年7月26日火曜日

どのような問題があるのか?

 自殺が起きてしまう現状として、自殺の原因別では「健康問題」が60・7%、「経済・生活問題」17・9%、「家庭問題」が13・8%、精神疾患のある人が65・3%になります。これらの原因を考えると、精神疾患と自殺者の関連性が深いことが見えてきます。

 ●精神疾患や心の病に関する問題にはどういうことがあるか?
  1、社会における病気に対する理解と、それに対する周りの反応の問題。
  2、潜在的に精神疾患がある人が支援に結びついていないという問題。
  3、多様な専門の相談機関があるための情報の複雑化の問題。
  4、福祉、医療、教育、NPO、公的機関など様々な機関の分野を越えた連携の問題。
  5、生活に必要な住居、就労などの障害福祉サービスの資源不足の問題。


1、社会における病気に対する理解と、それに対する周りの反応の問題。
 これらはこれまで政府や関係機関、またNPO団体やメディアなどがあらゆる手段で人々に啓発してきました。そのおかげで多様な精神疾患の情報をみんなが知ることとなりました。しかし、それはまだまだ不十分だと思っています。私が住む茨城の片田舎では、精神疾患はまだまだ肩身が狭いと感じます。「頭がおかしい人。」とまで言う人もいるから驚きです(特に年配の人)。これらは、もう少し地域単位での普及活動が必要ではないかと考えさせられます。(知識、当事者との関わりを通した体験など。)

2、潜在的に精神疾患がある人が支援に結びついていないという問題。
 現在、政府や地方でメンタルの問題に関する様々な取り組みがなされている。それに伴い、様々な状態(ひきこもり、虐待、DV、アル中、パワハラ、自殺など)にある方々の支援として相談支援が行われています。しかし、これらは相談に来た人々の対応を行うが、そこに至らない潜在的な問題を抱える人への対応はどうか?私の知る限り生き届いていません。これは彼らが抱える業務の多さ、制度的な問題、組織的な問題などいろいろあるとは思います。また、多様な専門的な活動を行うNPO法人など、活動の功績は大きいと思いますが、まだまだ数が少ないという現状があります。

3、多様な専門の相談機関があるための情報の複雑化の問題。
 これは広く住民に浸透していない。茨城県内にも多様な相談機関があり、ある程度の問題をカバーできると思っていますが、そもそもそれらの相談機関の情報さえ知らない人が多いです。茨城で言えばネットも不十分。自分の知りたい相談機関を探すがやっと見つけられるくらい根気が必要です。(自分で探してみて、なかなか情報に行きません。)
 これらはメンタルにかかわる相談の中心になる機関が無いということ、それらを広く情報公する機関が無いということが挙げられます。

4、福祉、医療、教育、NPO、公的機関など様々な機関の分野を越えた連携の問題。
 どの分野でも分野同士での繋がりや関わりのある機関との繋がりだけが中心で、あまり密に連携がとれていない印象があります。特にそう思うのは障害者福祉とセーフティーネット関連のNPOの連携など。実際、ひきこもり、虐待、DV、アル中、パワハラなどの専門のNPOと連携することで問題が解決し、精神も安定してきたという人はたくさんいました。連携がとれれば専門分野を分担することで解決できるケースも多いと思います。
 しかし現状は、必要なほどの連携はとれていないと感じます。それは、それ以上に日々の現場での業務が忙しいというのがあるのかもしれません。連携を強化しようと考えていても、法人の体制であったり、上司の考えであったり、仕事内容(職種)や役割であったり、職員の意識であったり、いろいろな状況の中で積極的に外に発信していけない環境もあるのではないかと感じます。

5、生活に必要な住居、就労などの障害福祉サービスの資源不足の問題。
 現在、精神疾患の入院患者総数は23万2100人で、その中で社会的入院の方が7万2000人と推定されています。

 ※社会的入院とは、本来の治療目的で病院に留まるのではなく、治療の必要なく長期入院を続ける状態のことを言います。特に精神障害者の場合は深刻で、数年から10年以上、半世紀以上も入院している患者も珍しくありません。

 何故起こってしまうのか?
 患者の病状の回復に関わらず、両親や親族が患者の退院を望んでいないことや、「薬物治療」の副作用、あるいは数年から数10年単位という極めて長い入院生活や、入院をを終了することへの拒絶感により、患者が退院を望む気力さえ失ってしまうケースも多いのが現状です。それに日本は、欧米などに比べて精神病床が多いため長期入院者の割合が高く、退院が可能な人への社会的な受け皿も不足しているということが挙げられます。

 実際に茨城県でもまだまだグループホームなどの地域での在宅サービスが不足しています。私の地域でも、小さい市内ですが精神科病床数が730床もあります。しかし、精神関係の福祉サービスはほとんどなく、グループホームや就労関係の事業所は1つないというのが現状です。


(注)
 これらの問題は、私の地域(茨城県)で私が感じる問題で、日本全国がこのような問題があるとは思いません。これらのような問題は地域によって異なるものでもあるからです。それは、県単位であったり、保健福祉圏域での問題であったり、市単位であったり。精神保健全体での問題は異なる面があるかもしれませんが、茨城県という中ではこのような問題があると思うので、それらを少しでも改善していければと考えています。

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