この本は、現在の活動をしていく上で重要な要素を教えてくれた書籍です。
【この国の精神保健の明日を描くために。精神保健最先進国イタリアからの渾身のルポと、日本への提言。第1回フランコ・バザーリア賞受賞(2008年)記念作品。】
この本は、日本とは対照的な精神医療の在り方、そして精神保健サービスについて書かれた書籍です。日本はこれまで精神病院を増やし病床数、患者数も増えてきました。そして、治療の必要のない社会的入院患者の問題も叫ばれています。その対策として障害者自立支援法が始まり、精神障害者の方々が地域で生活できる仕組みが出来てきましたが、まだまだサービスも少なく生き届いていない現状があると思います。(しかも、病院はあまり減っていません。)
逆にイタリアは、精神保健改革である一八〇号法として精神病院を廃絶し、地域精神保健サービスへ急速に移行し始めた。その先頭を切ってきたバザーリアの業績、精神保健サービスが出来るまで、出来てからの活動の中身や業績が詳しく書いてあります。
また、なぜ日本は精神病院を「捨てない」のか、という理由も書いている。関係者の「教科書」では決して取り上げないことだが、しかし業界関係者は実は知っていること、「捨てられない」社会的理由が明らかにされるところは知っておくべきことと思います。
「鉄の扉の奥に押し込めることを正当化するような精神状態など、本来ないのだ」
(バザーリア)
治らないとされる精神病。であるからこそ、そのままの状態でも自立し、自分自身で生活できるようにサポートしていくことが大切だと思います。
精神保健福祉分野で働く関係者、または興味のある方々は是非読んで見てください。
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